30才の初恋
結局部屋の中にも戻り、夕食をご馳走になることになってしまった。



咲良さんが先生と楽しそうに話をしている。




斗真が私の足をつついた。




「何、斗真?」




「あいつがおふくろの初恋の相手だったんだな。」



斗真は知っていたんだね。



「初恋は実らないから、美しい思い出になる。」



斗真と私はその初恋が叶った訳だから、凄いと思う。



過去も現在も未来も斗真しか好きになれない。



斗真はどうか知らないけど。



斗真はそんな私の気持ちにきづいたようで、俺も明日美しか好きになれないと言った。



嬉しくて斗真に抱きついた。



しまった、ここは自分の家ではなかったのに。



もう、恥ずかし過ぎる。



「斗真、食事のお手伝いをしてくるね。」



「明日美は行かなくてもいいだろ。二人の邪魔になるぞ。」



なるほど、悟さんと愛奈夏さんが楽しそうに食事の仕度をしていた。



お邪魔虫に間違いないな。



なんだか、二人が羨ましくなった。



斗真は一切家事をしない。





























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