30才の初恋
帰りの車の中、咲良さんの初恋話で盛り上がってしまった。
斗真は無言で運転している。
母親の初恋話は聞きたくないのかも知れない。
その時斗真が何かを言った。
「斗真何?」
「おふくろは、親父と結婚した事後悔してるのか?」
「後悔した事がないと言うのは嘘になるけど、今は幸せよ。」
「なんで、明日美が泣くんだよ。」
だって、涙が止まらない。
人それぞれの色んな出会いと別れがあって、こうして家族になれた事が幸せなんだと思う。
斗真と結婚出来て本当に幸せだ。
ニヤニヤしてると、斗真が頬を摘まむ。
「痛い。」
生きてる証拠だと斗真が笑った。
本当に痛いんだから。
この先何年になるか分からないけど、斗真の隣をずっと歩いて行きたい。
そして、斗真と私の赤ちゃんに出会えたら最高に幸せ。
赤ちゃんが私たちの所に来るのは、そう遠くない気がする。
「斗真、お腹すいちゃった。」
「 はぁ~、飯食ったばっかりだろうが。」
「あら、あら、私も同じ事思ったわ。家でお茶づけでも食べましょうか。」
やったーと喜ぶ私を見た斗真が、子供かよと又、笑った。
30才の私はあの小学生だった頃と何も変わらず、斗真だけをずっと大好きなんです。