30才の初恋
早くこの話を終らせてほしいのに、私の意見を全く聞くつもりはないみたいだ。


大きなため息をつくと、円香に睨まれる。


円香さん怖いです。


「父さんの店を手伝っていても出会いなんてないから、明日から新しい職場で働いて貰うことに決めたので、よろしく。」


そんなぁ、勝手に決めないでくれるかな。いくら何でも酷すぎる。


今の生活を守りたいくて必死になると、母親が泣き出した。


ここでなんで泣くかな。


わざとらしい。


「明日美には普通の恋愛して、幸せになってもらいたいの。」


もう、止めてよ。


恋愛しなくても私は充分幸せだと言ってるのに。


悔しくて泣けて来た。


私の気持ちは考えてくれないの。


「父さんの知り合いの会社で働けるように話してあるから、明日その会社へ行きなさい。」


ちょっと、待って。


明日からだなんて、突然過ぎて心の準備も出来ない。


少しは考える時間が欲しいのに、みんなが怖い顔で睨む。


家出しようかな。


「明日美姉さんに拒否権はない。ダサい黒髪は今からカットして明るい色に染めるから、兼太郎準備して。」


あなたたち横暴過ぎだから。


そのまま円香の店に連れて行かれ、長い髪があっと言う間にショートボブにされた。

長い髪が気にいってたのに。


「明日美姉さん可愛い、10才若く見えるよ。」


童顔の私は化粧をしていないと、高校生と間違われる事もある。


身長も155cmしかない。


円香は170cmあるし、美人で一緒にいても姉妹に思われた事ないし。


又凄く惨めな気持ちになった。


本当に、もう、やだ。


全てから逃げ出したいけど、そんな勇気もない。



































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