犬と猫…ときどき、君
◆プロローグ


「胡桃、愛してる」

「……うん」

汗ばむ体を横たえながら、私を抱きしめたあなたの優しい声が、胸を伝って耳に届く。


「おやすみ」

「うん。……おやすみ」


幸せなはずの、その時間。

気付かなければ良かったんだ……こんな気持ちに。


――でも、きっともう手遅れ。


どうしようもなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになった、私の心。

積もり過ぎた、そんな気持ちが溢れ出て、涙になって零れ落ち、

「ごめんなさい……っ」

小さく紡がれるのは、もう眠ってしまったあなたには届く事のない、そんな言葉。


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