犬と猫…ときどき、君


「……ぅんっ」

春希の指先が体に触れる度に漏れる、小さな吐息。

その綺麗な唇で体中に落とされるキスは、まるで優しい雨のようだと思った。


どんどん湿っていく、ココロとカラダ。

――違う。

湿っていくんじゃない……潤っていくんだ。

どうしようもないくらいの甘い刺激に、何度も声を上げそうになりながら、私はそんな事を考えていた。


「……ぁあッ」

耐えきれず、私の震える唇から零れる吐息を、少し余裕の無さそうな表情を浮かべた春希の唇が塞ぎ、呑み込む。


「くるみ……」

ゆっくりと離れた唇。

私の瞳を、いつもよりも光を含んだその瞳で真っ直ぐ見つめて――……

柔かく放たれた、その言葉。


“くるみ”。

それは、嫌いだったはずの私の名前。


「くるみ……」

「うん」

「好きだよ、くるみ」

「ん――……っ」


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