犬と猫…ときどき、君
ゆっくりと離された唇。
「……っ」
目の前には、息を呑むほどに綺麗な春希の黒い瞳。
それだけで、私の心臓は、どうしようもないくらい甘くしめつけられて……“キュン”と音を立てる。
「ちょ、ちょっとっ!! 誰かに見られたらどうすんの!?」
「へ? 胡桃が唇尖がらせるから、おねだりされてるのかと思ったー」
「そんなワケないでしょ!?」
「あはははっ!」
真っ赤な顔の私を見て、楽しそうに笑ったあと。
涙の溜まった瞳を細め、愛おしそうに私を見つめる、あなたの口から零れるのは、
「ホント、楽しいな」
これでもかというほど柔かく、心を温かくする、そんな声。