犬と猫…ときどき、君

その後も、あらかた予想通りの反応を示し、予想通りの行動を取った“しーチャン”だったけど、一つだけ驚いた事があった。


研究班を決める時に、絶対に春希がいる、うちの班に来るものだと思っていたのに。

予想に反して、来たのは彼氏だと思われる“仲野君”だけ。

意外なことに、しーチャンは他の班に希望を出した。


それだって、後から考えれば理由があったのかもしれない。

でも、その時の私にそんな事がわかるはずもなくて――……。


単純な私は、正直ホッとしていたんだ。

いつもあの調子で春希に付きまとわれて、威嚇されていたら、さすがに精神的に辛いと思ったから。


仲野君は予想に反する事なく、とっても真面目な男の子で、私とも春希とも、結構仲良くやっていた。


もちろん……彼女のしーチャンとも、仲が良さそうに見えていた。


それに、大学近くの動物病院に就職した聡君も、研究の指導と、きっと私と春希のことを心配する気持ちもあって、時間があれば研究室に顔を見せてくれていた。


春希だけじゃなく、聡君もいてくれる。

それは“私にとって”は、凄く安心できる環境だった。


このまま何も起こらず、春希と一緒に卒業出来るんだろうと、私は本気で、そう思っていた――……。


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