犬と猫…ときどき、君
「ハルキさんだって、気になってるからそんな顔してるんでしょう!?」
「松元!!」
二人で一体、何の話しをしてるの?
そもそも何で、二人でいるの?
――ううん。
違う。
一番気になっているのは、そこじゃない。
“ハルキさん”
“松元”
あんなに嫌だって、言ったのに……。
握りしめた手から力が抜けて、ダラリと落ち、私は下を向いた。
また渦巻き出した嫌な感情に、呑み込まれそうになりかけたその時。
「……え?」
私の視界を横切るように、ゆっくり伸ばされた腕。
その手が、躊躇うことなくノブを回す。
「お前ら、何してんだ?」
扉を開けるのと同時にそう口にした聡君と、その隣に立つ私に向けられたのは、心底驚いたような顔をした春希と松元さんの視線。
そんな二人に、聡君がいつもよりも少し低い声で話しかけると、春希は私たちから視線を逸らすように下を向き、その隣の松元さんは、何故かクスッと笑った。