犬と猫…ときどき、君
「ちょっと……!! 春希、なに!?」
驚いて、胸の辺りをグッと押し返す私に構うことなく、体を引き寄せて、唇を塞ぐ。
「……んっ!!」
一瞬にして、口の中に広がったお酒の味。
荒々しく口内を掻き回されて、私は必死に頭を振った。
何かが違う。
いつもの春希と、違う。
「ん~~……っ!!」
やっと顔を背けて、その荒々しいキスから逃れた私の呼吸は、胸が上下するほど乱れていた。
「胡桃」
どうして、そんな声を出すの?
「なぁ、」
どうして……そんな顔してるの?
「俺のこと、好き?」
その言葉と同時に、首筋に顔を埋めた春希の呼吸も、震えていた。
だけどそれは、抵抗して荒くなった私の呼吸の震えとは違くて……。
「胡桃、好きなんだよ……っ」
その声に。
その言葉に。
胸が痛くて、涙が零れた――……。