犬と猫…ときどき、君

――十八歳の春。

私は志望していた、国立大学の獣医学部に合格した。

雪深い北国のだだっ広い平坦な土地に、ドドーンと建てられたその大学。


周りには他に大学もなく、過疎化が進むこの辺りで見かける若者はほとんど全員同じ大学の学生。

都会の大学に行った友達の話を聞くと、自分の大学が妙に孤立しているような気もしたけれど、元々都会が苦手な私にはこのくらいの田舎が丁度よかった。


初めての一人暮らしと、まだ始まったばかりの大学生活。

それはどこかふわふわしていて、色んな期待で毎日ワクワクしていた。

だけど、その日はちょっと――ううん、かなり困っていたのだ。


「ふぅー」

出来るだけ、呼吸をしないように。
そこにある空気を、吸い込まないように。

息苦しくて、ちょっと頭がガンガンするけどしょうがない。

だってここは、どうしようもなく煙たいんだもん……。

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