犬と猫…ときどき、君
その時に何が起きていたのかなんて知る由もなかった俺は、図書館を出ると、動かない頭を何度も振って深呼吸をくり返した。
“俺は一体、何をしてるんだ?”
そう思う気持ちと、
“これで、胡桃と及川さん疑う気持ちから解放されるはず”
そんな二つの気持ちが何度も何度も入れ替わりながら湧き出ては消え……。
心の中は、最悪の状態だった。
――どんな顔をして、胡桃に会えばいい?
それを考えるだけで、胸にもの凄い痛みが走って、研究室に戻る道でも“これでいいのか?”と、自問自答をくり返し続けた。
だけど、研究室に戻った時、そこに胡桃の姿はなくて。
どうしたんだろうと心配する反面、どこかでホッとする自分に気付いた瞬間、自分が本当に最悪な人間だと思った。