犬と猫…ときどき、君
「まぁ、松本サン自身を抑えるのも理由の一つなんだけど」
「……」
「胡桃の書き込み、止まんねぇんだよ」
「え?」
「俺が松本サンに冷たくすると、また新しいネタが書き込まれて、アホ共がバカみたいに騒ぎ出す」
「逆もまた然り……って事ね。つーことは、やっぱり管理人も松本サン関係かねぇ?」
「多分な」
俺の手を振り払った、胡桃の怯えたような表情を見たら……こうせざるを得ない。
「胡桃の画像だけでも、大元を見付けて消す。ネットに流れた画像なんて、もう回収不可能だろうけど……。でも、そのくらいはしないと気が済まない」
「……」
「その為には、松本サンの傍にいた方が動きやすい」
大体さ、胡桃の傍にいられないなら、どこにいたって同じなんだよ。
「春希さぁ」
「あー?」
「俺の事“マコちん大好きすぎんだろ!!”っていっつもバカにするけどさ」
「……」
「お前だって、人のこと言えねーじゃん」
呆れたような篠崎のその一言に、思わず笑ってしまった。
「お前の方こそ、芹沢のこと大好きすぎんだろ」
「うっせーよ」
わかってる。
心の中をぶちまけちまえば、そこにあるのはただ一つの単純な想い。
俺はやっぱり――……
バカみたいに、胡桃が好きなんだ。