犬と猫…ときどき、君



「なぁ、須藤動物病院って知ってるか?」

仕事の帰り、篠崎の家に直行した俺は、開口一番でそんな言葉を口にした。


「あ~……。知ってるけど」

「どんなトコ?」

「……」

急に黙り込んだ篠崎は、きっと何か知ってるんだろうな。


「篠崎」

「はいはい。芹沢だろ?」


やっぱりな。


「知ってたんだな」

「そりゃ、お前。マコと芹沢、まだ仲いいからな」

「胡桃、大丈夫なのか?」

俺のその問いかけに、大きく溜め息を吐いた後、篠崎は、困ったように笑った。


「マコに、お前に芹沢のこと話すなって口止めされてんだよ」


……なるほどね。

まぁ、このくらいは覚悟の上だけど。

椎名は、いつだって胡桃の味方だったもんな。


「助かるよ」

「は?」

「椎名が、あいつの傍にいてくれて」

俺のその言葉に、一瞬目を見開いた篠崎。

「……悪い」

「いや、別にお前が謝る事じゃねぇし」


――悪いのは、俺だ。


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