犬と猫…ときどき、君

「“俺はあんたを好きにはならないし、あんたに指一本触れない”」

「は？」

「“俺に指図は出来ないし、俺は俺の好きなようにやる”」

「あ？」

「条件付けたんだよ。あの女と付き合う時に」

俺のその言葉に、眉間に皺を寄せた篠崎は、一瞬考え込んだそのあとに、

「……それって、付き合う意味あんの？」

そう言って、首を傾げた。


「さぁ？　俺もそんなバカげた条件聞いたら、諦めるかなぁとも思ったんだけど、それでもいいんだと。松元サンは、外だけ取り繕ってれば満足みたいだな」

「……」

「くだらねぇよな」


ホント、くだらない。

最初は、そんな条件をのんでまで、俺と付き合う意味がわからなかった。

だけど俺は、少しずつ、その理由に気付き始めていた。