犬と猫…ときどき、君
「あと、お前がここで泣いてる気がしたから」
「――っ」
バカじゃない?
てゆーか、バカだよ。
明日から、旅行でしょ?
「胡桃?」
「うん……」
“バカ”?
……誰が?
私、どうして普通に返事をしいてるんだろう?
「何で膨れてんだよ」
「さっき、家に行ったって言ったじゃん」
「あ?」
「ここで泣いてる気がしたなら、ここに直行してよ」
「はい?」
「襲われたら、どうしてくれんのよ」
「……」
「城戸」
「ん?」
「バカだよ……っ」
――城戸も、私も。
どうして今更、こんな気持ちにさせるんだろう。
「城戸?」
「んー?」
「明日から、旅行に行くんでしょ?」
絞り出したその声は、明らかに震えていて……。
だけど城戸は、そんな私を見て、困ったように――だけど、凄く優しく笑って言ったんだ。