犬と猫…ときどき、君


「胡桃ー、本当にゴハン行かない?」

「うーん……。この顔だし、今日は大人しく帰って寝るー」


診療を終え、アニテク部屋で着替える私に、マコが少し唇を尖らせた。


「結局城戸、その頬っぺたの事は何も言ってこなかったの?」

「……」

「腹立つ!!」

「マコ。もういいから、やめよ! こんな状態じゃ、城戸だって仕事しにくいでしょう?」


私の言葉に一瞬顔を顰めたマコは、小さくポツリと、

「あいつ、ホント変わったね」

そんな言葉を落とした。


「ホント、見損なった」

「マコ……」

悔しそうなその表情に、また胸が痛む。


篠崎君とマコと、城戸と私。

いつも四人で一緒にいた頃、マコと城戸も凄く仲が良かった。

お互いがお互いに文句を言い合ってたけど、それでも凄く楽しそうだった。


「ごめんね、マコ」

「……胡桃のせいじゃないもん」


いつだって、私の味方をしてくれるマコ。

そのマコの彼氏は城戸の親友で、今はもう平気だけど、私達が別れてすぐの頃、マコと篠崎君のケンカも増えた。


城戸のことを許せないと怒って、一時期城戸から離れたマコと、そうしなかった篠崎君。


私達のせいで、本当にグチャグチャだ。


「もうこれ以上、マコにもアニテク三人娘にも心配かけないように頑張るから!」

「胡桃……」

「だから、もう少しだけ待ってね」

「……」

「ちゃんと自分の気持ちにケジメつけるから」

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