犬と猫…ときどき、君
悲痛な叫びに、胸が痛くなった。
この子は本当に春希が大好きで……。
きっと今まで起こしてきた全ての行動は、私の卑怯さと、自分の気持ちを春希に分からせる為。
「……松元さん」
その気持ちは、痛いほどに伝わった。
言葉が真っ直ぐすぎて、私には鋭すぎて、泣きたくなるくらい。
――でも。
「私は、あなたに憧れていたの」
「え……?」
私だって、どうしても言いたいことがある。
「いつも可愛くて、女の子らしくて。あなたみたいになりたかった。だけど――……」
視線を上げた私に、松元さんが息を飲む。
「私はやっぱり、あなたのした事が許せない」
彼女の気持ちに同調してしまう自分も、心のどこかにいる。
だけどそれが正しいことだなんて、絶対に思わない。
「私だけを傷付ければよかったのに、マコまで傷付けたのはどうして? 篠崎君を傷付けたのはどうして?」
「……」
「春希を傷付けたのは、どうして?」
口を閉ざしたまま、一向にそれを開こうとしない彼女は、どれだけ私の言うことを理解しているのか。
「結局それって、全部自分を守るためでしょう?」
「――……っ」