犬と猫…ときどき、君


今野先生の与えてくれるこの感覚は、嫌いじゃない。

むしろ心地いい。


だからきっと大丈夫だって、思ったのに――……。


「胡桃、好きだよ」

「……」


――“くるみ”。

その言葉の威力は、強すぎる。


「胡桃」

「……なさい……」

「え?」

「ごめんなさい」

まるで耳元で囁かれているみたいに、頭中に蘇るのは……少しだけ掠れた、甘い声。


私はやっぱり、春希のことが忘れられない。




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