犬と猫…ときどき、君
「“獣医学部に入ったんです”って言ったら“ケモノ医なんかになるの!?”だって」
「いつの時代の差別用語だよ」
「……ね。でも、それが凄い悔しくてさ。その場にいたお父さんは、何も反論してくれないし。ますます溝が出来ちゃった」
「……そっか」
「うん」
取りあえず話したいことを話し終えると、沈黙流れた。
これじゃー、せっかくの楽しい雰囲気が台無しだ。
「でもねっ! その時、聡君がね」
「サトル?」
「うん。イトコの」
「……あぁ」
「“俺も獣医学部ですよ”って。“人の命を救う医者と、動物の命を救う獣医、何が違うんですか?”って、言ってくれて」
「うん」
「それが凄く嬉しかったんだ」
笑いながら春希を見つめると、春希は少し困ったように笑い返して、何を言うワケでもなく、私の頭をそっと撫でてくれたんだ。