犬と猫…ときどき、君

「よく解らないの」

「――は?」

「よく解らないけど、フィフティー・フィフティーじゃないと辛い」

「……」

「あなたに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになって、押し潰されそうになる」

「それを“重い”って言うんじゃないの?」


――違う。

“重い”っていうのは、きっと相手の気持ちだけの問題で……。

あなたから想われるのは、すごく嬉しい。

だけど、その分バランスが取れなくなった私は、それに対して“申し訳ない”と思ってしまう。


――やっぱり、上手く伝わらない。

そう思った私の口を吐いて出るのは、

「ごめん」

バカみたいに繰り返される、謝罪の言葉。


もっと上手に自分の気持ちを伝えられたら、あなたにそんな顔をさせずに済むのに。

そう思うと涙が出そうになるけれど、私が泣くのは間違えてるよね。


「……もういいよ」

「……」

「もういい」

「――……っ」

「俺には、お前の気持ちがわかんねぇよ」

最後に怒りを含んだ瞳で私を見つめ、背を向けて部屋を出て行くあなたに、私は唇を噛み締めて下を向いたまま。

それ以上、言葉をかける事が出来なかった。


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