犬と猫…ときどき、君
「胡桃、呑み過ぎ」
春希のその言葉と共に、私の手からお酒の缶が没収された時、もう既に立ち上がって真っ直ぐ歩けない程に酔っぱらっていた。
久々に口にした、家族の話し。
本当は、春希に聞いて欲しかったのだと思う。
話した事で、少し軽くなった心と、気の許せる仲間との楽しい時間が嬉しくて、ついついお酒のペース配分を間違えたらしい。
「部屋……一回戻って、ちょっと休むー」
軽い吐き気を感じながら、自分のバンガローに向かおうと、ゆっくり立ち上がり一歩前に踏み出した。
それなのに、
「あれー……?」
目の前がグルグル回り出して、一緒に立ち上がった春希の腕をギュッと掴む。
「だから、呑み過ぎだって言っただろ」
春希は呆れたように言って、私を一度座らせると、マコから部屋のカギを受け取って戻ってきた。
「部屋まで送るから」
「ありがと……」
胸元を押さえながら溜め息を吐く私を見て笑う春希と共に、みんなが騒がしく飲み会を続けるバンガローを後にした。