面倒くさい恋愛劇場
 (……まさか、あなたと勘違いされて、責められてましたとは言えないよなぁ)

 どうしたものかと彼を見上げ、ぎょっとする。
 その顔つきは、前回見た「警察に任せたら、自分で制裁が加えられないのが我慢できない」という顔だった。
 (いやいやいやいやいや、相手狂っちゃってるけど、制服着てるよ?! 女子高校生ってやつじゃないの??)
 慌てて、ガシッと腕を掴むと、彼が一瞬こちらに目を向ける。

 (お、落ち着こう! ほら、ちょっと思い込みの激しい高校生v って感じでしょ? 思春期にありがちな感じの! 大人の粘着質な好意とは似てるけれどちょっと違うような気がしない??)
 (ふざけんな。逐一行動監視される程度ならまだしも、干渉されんのは我慢ならないんだよ!)
 (ちょーっと、アプローチの方法間違っちゃっただけかもしれないよ! 落ち着かせて話を聞く方が得策だってば!)
 (……それは、そうかもしれないけど)

 口にしないものの、そんな会話がアイコンタクトで交わされてる間に、彼女はふらりふらりと近づいてくる。

 「わたしの方が、ずっと好きなのに」
 「わたしの方が、ずっと見てたのに」
 「わたしの方が…………」

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