面倒くさい恋愛劇場
 「………………面倒くさい?」

 言い合いが、全く噛み合わないことに焦りながらも本音が飛び出すと、相手はその中の一言に反応を示した。
 (よし! 今だ!)
 相手がようやく耳を傾けてくれた機会を逃すまいと、わたしは一気にまくし立てる。
 
 「わたし、恋愛みたいに面倒くさいこと苦手なんです! 相手がどこでどうしてるか気にしたり、逆に気にされたりするなんてまっぴらごめんです!」

 言い切ると、相手はようやくわたしの顔をまじまじと見て、静かに口を開いた。

< 5 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop