彼氏の余命を知ってる彼女。


──きっとヒカルもアズキと同じように私の変化に気づいていたんだ。


だからそんな私を安心させるために今の言葉を言ったんだろう。


「…絶対に…、絶対にヒカルを死なせない。私自身がどうなったっていい。ヒカルが死ななければ──」


携帯をギュッと握りしめて、静かに呟いた。


それは誰に言い聞かせているわけでない。


自分自身に向けての言葉──。



頬を伝う涙を拭いながら、空にある満月を見ながら私は家に続く道をまた歩き出した──。


    
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