彼氏の余命を知ってる彼女。


金曜日。

しとしとと薄暗い空から降る雨が、まるで私の気持ちのように感じる。


放課後、図書室の大きな窓から外を眺めながら深いため息をつく。


──死神から“自分自身”は身代わりに向いていない、と聞いてから二日。


前のようにインターネットで調べたが、収穫はまたゼロ。


昨日も今日も休み時間と放課後は図書室にこもりっぱなしで、段々、図書室の雰囲気にも慣れてきて常連になりつつある。


もちろん、放課後残る時は、ヒカルの掃除が終わるまでの間だけ、ここに居られる。


ヒカルには、好きな小説があるから、と言ってそれをここに来る理由としている。


実際、机の上に置かれている本は、死神や冥府についての本、医学書、ダミーの恋愛小説だ。


    



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