彼氏の余命を知ってる彼女。


医学書と死神についての本を交互に見ながら、私はふと時計に目を遣る。


…ん、もうそろそろヒカルが迎えに来る時間だ。


と、心の中で呟き、死神や冥府についての本と医学書を本棚に片付け、ダミーの恋愛小説の適当なページを開く。


それとほぼ同時にヒカルが図書室のドアを開ける。


「ヒナ~、帰ろう~」


入り口から私へ向けて叫ぶヒカル。


受付のあの愛想のない図書委員さんは、ヒカルの密かなファンらしく、ヒカルが多少うるさくても注意しない。


    
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