彼氏の余命を知ってる彼女。


…あれ。


重たい体を起き上がらせ、まだ完全に開かない目で周りを見渡す。


…なんか私、すっごい夢を見たような気がする。


「ヒナ!」


ボケっとしてると一階からお母さんの怒鳴り声が聞こえ、慌てて一階へと降りた。


リビングへ入ると、お父さんも帰ってきていてもう夕飯を食べていた。


「…あ、お父さんお帰り」


「ヒナか。ただいま。…どうした?顔に涙の痕なんか付けて」


「えっ」


お父さんに言われ、目の下に触れてみると確かに涙が伝った形跡らしき感触があった。


…私、悲しい夢でも見ていたのかな…。


何の夢を見ていたのかはハッキリと覚えてない。


だけど──…これから悲しい運命が待ち受けているような気がして胸騒ぎが止まらない──…。



ただの夢だと…いいんだけど、ね…。



    
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