彼氏の余命を知ってる彼女。
「おはよー」
学校までの道のりで何回周りからこの言葉が聞こえてきただろうか。
あと少しで学校の校門が見えてくるというのに、私は朝から不機嫌になっていた。
それは今日も気温が低く、息をするだけで鼻の中が痛くなるからだ。
…なんで春なのにこんな寒いの?テレビで東京とかはもうお花見してる人も居るって言ってたのに…。
同じ日本なのに何故こうも気候が違うのか…、とコートのポケットに手を突っ込みながら心の中で思う。
本当、この季節、大っ嫌い。
深いため息を吐くと、白い息が出るのを見て、また不機嫌になる自分がいた。
「ヒーナ!」
「うわっ」
早歩きで歩いていると、後ろから甲高い声と共に背中に衝撃が走る。
タックルをされて危なく地面に倒れてしまうところだった。