彼氏の余命を知ってる彼女。
「…アズキかぁ。朝から元気だね」
朝から猛烈なタックルをしてきたのは、中学からの親友、工藤 アズキ。
フワフワとしたパーマをかけた髪の毛が印象的な、明るい女の子。
「ヒナが低いんだよ~。まぁ、ヒナはこの季節が嫌いだからしょうがないか!」
「早く暖かくなればいいのに…」
「てか!昨日、夕方頃電話したのに出てくれなかったでしょー」
アズキが私の肩を突きながら不満そうに言う。
私は、昨日の夕方頃の自分の行動を思い浮かべた。
…夕方頃。
確か昨日は帰ってからすぐにベッドで寝てしまったんだ…。
すごい夢を見たのは覚えてる…。どんな夢だったかは曖昧で覚えてないんだけど、夢の中で誰かが言った言葉が頭から離れない…。
『目覚めた時に君は現実を突きつけられるかもしれない。我々は何もできないが、しっかり受け止めて短い人生を歩んでくれ』
鋭い瞳の男がそう言っていたような気がする…。
夢の内容を思い出さなければいけないような気がするんだけど、中々思い出せない。
何かきっかけがあると思い出せると思んだけど…。
「ヒナ~!」