彼氏の余命を知ってる彼女。
「テスト終わり!用紙は後ろから前に送って」
生物の先生がそう叫んだ瞬間、さっきまで静寂に包まれていた教室が一気に活気を取り戻した。
そして、四限目の終わりのチャイムが鳴り響く。
「ヒナ~、テストどうだった~?」
口を尖らせて、弁当を片手に、アズキは私の元へとやって来た。
「10分前に覚えたから大丈夫だったよー」
「え!私なんて昨日も勉強したのに全然出来なかったよ!流石、記憶力は抜群ヒナさん」
そう言ってアズキは自分の弁当を頬張る。
確かに昔から記憶力だけは人並外れていた。この記憶力のおかげで、勉強もそこそこ出来る。
…でもそれが仇になる時もあるけどね──。