≡ヴァニティケース≡


 女はあやかし。あやかしが女。


─────これからの人生、私は伊藤ミレイとして過ごす。出来そこないのクローンから伊藤家の当主へと成り上がって─────


 人の思惑とは、この古都のように全てに理由があり、また全てに因縁を帯びている。平家が衰退すれば源氏が隆盛する。誰かが死ねば誰かが助かり、また誰かが蘇れば誰かが困惑する。


『綱、一条堀川の戻橋を渡りける時、東の爪に齢二十余りと見えたる女の、膚は雪の如くにて、誠に姿幽なりけるが……』


─────ここは京都。今もあやかし伝説が行き交う街。そして私は、一度死んであの世から帰ってきた女─────


 女はあやかし。あやかしが女。


 また一陣、妖気をはらんだ風がミスズの頬に佇み、やがて小路の奥へと消えて行った。


≡ヴァニティケース≡


«了»


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