≡ヴァニティケース≡
それに、そもそも聡明な美鈴である。資格さえ取ってしまえば仕事で蒔田に後れをとることはない。やがて立場は逆転する。その暁にはどのような方法で彼を虐げてやろうか……と、美鈴は頬を弛ませた。しかし、以前の彼女ならばいざ知らず、さすがにこれは極端な妄想である。
「ダメダメ。こんなんじゃ何も変わらないわ。折角の新天地なんだから違う私を見付けなきゃ」
そう自分に言い聞かせ、ブンブン頭を振る。今は脳内から蒔田のイメージを追いやることだけに留めた。
〜新しい発見〜