限られた永遠の物語
「ねえ、あなたは死ぬのが怖くないの?」
後ろから彼女の声が聞こえた
「死神らしくない質問だな?」
キャンバスから振り返ったオレはリリを見た
彼女は泣きそうな顔をしてまっすぐとオレを見ている
「知りたくなったから」
抱き締めたい
あんなに涙を溜め込みながらまっすぐに見つめる彼女を
「そーだな・・・
オレ本当は生まれた時から長く生きられないって言われ続けてきたんだ。
だから、いつ死んでも大丈夫なように生きてきた。
友達なんて作らなかった。
オレがいなくなったとき、悲しんでほしくなかったから。
思い出なんて作らなかった。
死んでしまう時悲しいなんて思いたくなかったから。
そんなこと考えていたってことは、やっぱり死ぬのは怖くなかったんだろうな・・・」
オレはそうやって生きてきた。
この世に思い起こすことなんてないように。
「でもさ、やっぱり何にもしないことはつらくてさ、世の中が退屈でしかたなかった。
その時に絵に出会った。
絵だったらさ、誰にも関わらずでも自分を表すことができた。
『オレは生きてる』って。
まあそれでも別に死ぬのは怖いとは思わなかった」
彼女は耐えきれなかったのかうつむき流れそうになる涙を必死に止めようとしていた
拭ってあげたい…。
でも今は無理だ