限られた永遠の物語
ようやくこの日が来た。

今日こそ伝える

ゆっくりと描いていた筆が止まる
「出来た」

振り返ると愛しい死神の少女がいる

「リリ、お待たせ」

これがオレの最期の絵
好きな人の絵

「なんてあったかい絵・・・」
優しく笑う彼女にオレも笑顔になる
「君のイメージをそのまま描いたんだ」

「これが私・・・?信じられない・・・」
涙を流している彼女に触れたいという気持ちに駈られつつ、触れようとした指が止まる

でも、もう我慢できない

もう描けるものは描けた。
今日彼女に伝えよう。

『絵は描き終わったけどオレの最期までずっとそばにいてほしい』って
本当は今すぐにでも抱き締めたい。

でもやっぱりギリギリまで彼女と一緒にいたいと思うのはワガママか?

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