桜嵐~嵐のような奴等~
――――
―――
――
ガタッ
「これはいらないか。」
中学を卒業し、引越しの準備を始めた。
新しい生活。誰も私の事を知る人なんていない。
これほど私を喜ばせることはないだろう。
ダンボールに荷物をつめていきながら、ここでのことを思い出す。
"記憶"を失ってからのこと。
8歳の時に交通事故に遭った私は、記憶喪失になったらしい。
病室のベッドで目を覚ました時、自分の名前すらわからなかった。
...もちろん家族のこともすべて忘れていた。
そこからの私は、ずっと家でひきこもるようになってしまった。
随分両親や周りの人達には迷惑をかけただろう。
でも仕方なかった。
何かが違った。小鳥遊海【タカナシウミ】という名前に、ひどく違和感を覚えた。