桜嵐~嵐のような奴等~




――――
―――
――




ガタッ

「これはいらないか。」


中学を卒業し、引越しの準備を始めた。


新しい生活。誰も私の事を知る人なんていない。

これほど私を喜ばせることはないだろう。





ダンボールに荷物をつめていきながら、ここでのことを思い出す。






"記憶"を失ってからのこと。


8歳の時に交通事故に遭った私は、記憶喪失になったらしい。

病室のベッドで目を覚ました時、自分の名前すらわからなかった。






...もちろん家族のこともすべて忘れていた。




そこからの私は、ずっと家でひきこもるようになってしまった。

随分両親や周りの人達には迷惑をかけただろう。







でも仕方なかった。













何かが違った。小鳥遊海【タカナシウミ】という名前に、ひどく違和感を覚えた。



< 6 / 24 >

この作品をシェア

pagetop