俺様王子のお気に入り
「? どしたの? 何か元気なくない?」
美菜が、私をため息をつく私を見て問いかける。
一応、美菜には言っとこ…。
「あー… いやさ、今日、嫌な夢見ちゃって…」
「嫌な夢?」
「…“あの頃”の、夢」
「あの頃…」
美菜は、一瞬考えて、すぐ意味が分かったみたいだった。
「大丈夫? だから元気なかったのか…。何かあったら言ってね」
「うん、ありがと」
それからは、その話から美菜が話題を変えて、もう夢の話は出てこなかった。
でも、それは、きっと美菜の優しさ。
私に嫌な思い出を、これ以上思い出させないように、深く追求しなかったんだと、私は思う。
美菜は、昔から、そうゆう子だった。
目には見えないような優しさでも、私を守ってくれたんだ。