俺様王子のお気に入り




「さっき、気持ち悪かったんだけど。何、桜木さんって。翔がさん付けとかありえないんですけどー」



学校を出ると、私は翔に言った。



ほんと、猫かぶりすぎでしょ。大体、コイツ〝王子様〟なーんてガラじゃないよね、本性。




「うっせぇな。あーゆーキャラで通ってんだから仕方がないだろ」


「王子様だもんねー。裏は全然だけど」


「悪かったな」



笑いながら、翔は私の頭に手を乗せて髪ををぐしゃぐしゃとする。




「ちょ、やめ、あーっ! もうっ、ぐっしゃぐしゃじゃん!!」


「もっとやってやろーか?」


「結構です!!!」




怒りながら髪を手で梳かしてぐしゃぐしゃを真っ直ぐに直している私を見て、翔はまた笑っている。



ほんっっと、こんな奴王子じゃなくてただのドSだ!!





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