俺様王子のお気に入り
「お前、いつもなんで俺の事フルネームで呼ぶんだよ」
「はぁ?」
そんな神崎翔の間の抜け真剣な表情に合わない質問に、私は間の抜けた声を出してしまった。
フルネーム…。確かに私は神崎翔の事を…うん、『神崎翔』って呼んでる。
「だってもう知り合って一年経ったんだから、そろそろ普通に呼べよ」
「じゃあ、何て呼べばいいのよ。神崎? 神崎くん?」
とりあえず神崎翔の苗字を呼び捨てにしたのと、くん付けにしたのを、声に出して言ってみる。
『神崎』と、『神崎くん』か…。うーん・・・、何かあんまりしっくりこない。
「ちげーよ。翔でいい」
「え、…呼び捨て?」
「別に、嫌だったらいいけど。俺も鈴乃って呼んでるから」
「ぁー、そうだった。じゃぁ…、翔で」
「おー」
…『翔』ね…。
その呼び名が確かに一番しっくりくるかもしれない。
しょう…か。