俺様王子のお気に入り
「そっ、れはっ… 親同士が勝手に決めたことだろ!?」
「でも~、私は翔のこと好きだもん♪」
「俺は好きじゃn「ぁ、桜木さん。いたんだー? 気づかなかったぁ。ごめんね~?」
突然、何も言わずに翔と花咲さんを見ていた私に、甘い声と満面の笑みで、私に言う花咲さん。
どうやら… 嫌味、みたいですね。
「別に、いいですけど」
「あ、そうそう! 桜木さんにお願いがあったの! あのね…」
嫌味を適当に返した私に、花咲さんは、またにっこりと微笑んで、
一旦翔に絡ませた腕を解き、私のほうに歩いてきて、小声で言った。
「…あんたさ、翔にベタベタくっつかないで。私、翔が好きなの。私が“婚約者”なの。だから、もう翔と一緒にいるの、やめて? ね!」
今まで聞いたことのないドスの聞いた声で花咲さんは私に言うと、最後の『ね!』をいつも通りの…甲高い、甘い声に変え、また、華のように…笑った。