恋イチゴ


蓮はやれやれ、と小さく息を吐いて、安心したような表情を見せた。
ゆっくりと、希祈の顔を覗き込むようにして問いかける。

「そんなに痛かった?」


あまりにも柔らかい蓮の表情に、希祈は一瞬見とれてしまった。
あまりにも端整な顔立ちに、頬が染まる。
ハッと我に帰り、すぐにふるふると首を横に振ると、赤く染まった頬を見られないように少し下を向いた。

すると、蓮は制服の袖で、こぼれ落ちる希祈の涙を拭いた。
蓮の袖から一瞬香った心地いい匂いに、希祈は魔法にかかったような感覚に陥った。
地に足が着いていないようなふわふわとした感覚。

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