恋イチゴ
…と、そこまでは順調に話が進んでいたのだけれども…
「ね、強力な助っ人でしょう?」
放課後、樹に呼び出されたのは希祈と…蓮だった。
樹は、2人を前にして、満足そうににんまり笑った。
あれからずっと、希祈は蓮を"見るだけ"だった。
もちろん蓮も、希祈を"見るだけ"。
どこか少し気まずくて、話しかけることができなかった。
ましてや、"無口でクール"なんてレッテルを貼られている蓮は、クラスではどこか近寄り難く、それこそ、"話しかけるなオーラ"を放っているものだから、希祈は横目で蓮を追うことしかできない。
お互いが密かに、"なにか共通点がない限り、もう話すことなんてないだろう"と思っていた矢先…
できてしまったのだ。
共通点が。
隣にいるのは…ずっと話したかった人。