恋イチゴ


「とりあえず、店の裏を案内しようかな。」


店長は、想像していたよりも若くかっこよかった。
清潔感があって、とても優しく、それだけで、希祈は肩の力が少しだけ抜けた。


「じゃあ倉橋くん、いろいろ案内してあげてくれる?」


店長が当たり前のように名前を呼んで手招きする。


…もちろん希祈は…その名前に覚えがあった。


―倉橋…くん…?


まさか…

希祈がそう思ったより早く、店の奥から人が出てきた。

白いワイシャツに黒いズボン、黒いエプロン…このお店の制服に身を包んだ…


―それはまぎれもなく倉橋の姿だった。



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