恋イチゴ
すると、今まで黙って一部始終を聞いていた蓮と希祈の目が合った。
「うん、大丈夫。」
蓮は希祈をじっと見て、少しだけ口角を上げ、ふっと笑みをこぼす。
希祈は思わず目をそらした。
当たり前のように耳まで赤くなる。
そんな二人の会話がどうも気に入らないやつがいた。
もちろん倉橋だ。
その余裕たっぷりな態度と、希祈の反応に、"へっ!かっこつけやがって"と、蓮の足をギュッと踏みつぶした。
倉橋のガキくさい攻撃に、蓮は冷静な態度を見せる。
が、しかしやはりイラつくのも事実で。
蓮は"あ、虫"と言って、倉橋の茶色くてくるくるな髪の毛を1本、ぶちっと抜いた。
いつもは倉橋がなにをしても気にしない蓮が攻撃してきただけあって、倉橋は驚きを隠せなかった。
「お前なにすん…っ!」
ハゲるだろっ!と蓮をにらみつける。
しかし、蓮より背が低い倉橋がにらみつけても全く迫力がない。
…そんな2人のやりとりにまるっきり気づいていない希祈と樹は、店長の粋な計らいで、ケーキをご馳走してもらうことになり、きゃっきゃっとはしゃいでいた。
蓮と倉橋は、その、あまりのはしゃぎっぷりに何も言えなくなる。
あー気分悪りぃ
倉橋は思いっきりため息をつく。