恋イチゴ
見上げてみると、今日は満天の星空だった。
バイトが始まって、相変わらず行動が人よりもだいぶ遅い希祈は、慌ただしい毎日を送っていた。
「やっぱり好きだなぁ。」
ふと気づけば自然と口から出ていた。
感情がそのまま声になっていることは、希祈にとっていつものことだった。
「え?誰が?」
無神経に口をつっこんでくるのは、もちろんいっきー。
今日のシフトは珍しく、倉橋といっきーと一緒だった。
…もちろん蓮も。
「樹。そういうことさらっと聞かない。」
すると蓮はいっきーにダメ出しをした。
そして、"だから女の子にデリカシーないって言われるんだよ。"と続ける。
"女の子"と聞いて、なぜかドキッとする希祈。
それはトキメキというものではなく、反射的なものだった。
そのことに安心して、ほっと胸を撫で下ろす。
あれ…?
あたし、なんでほっとしてるのかな…?