恋イチゴ
ちょっと!ちがうでしょうが!
希祈はぶんぶん首を振った。
「西山さん?」
それを見た蓮は驚き、見られたことの恥ずかしさから真っ赤になった希祈を見て、笑った。
「西山さんってやっぱり…。」
その瞬間、急に強い風が吹いた。
希祈の栗色のミディアムヘアが揺れる。
「え?ごめん、もう一回!」
蓮が笑ったあとの言葉が聞き取れず、髪をかき上げながら慌てて蓮を見る。
すると、蓮は空を見ていた。
「なんでもないよ。」
そして希祈の顔を見ると、また笑った。
それはさっきとは違う、優しい、本当に優しい笑顔だった。
…好き……
その笑顔を見た瞬間…
今までごまかしていた希祈の気持ちが…
…自然と溢れた。