Distance‐マイナス5cm‐
教室に誠と二人で入って行くと、一斉に質問攻めにあった。
ここまで来る途中に、何人ものクラスメートに目撃されていたらしい。
そりゃそーよね。
宮下クンには、
「昨日付き合ってないって言ったじゃねーか!誠の奴!」
と誠が攻められ、
結夢には、
「案外早かったねぇ〜」
といつものニヤニヤ顔で茶化された。
それ以外にも、クラスの女子には羨ましがられたり、祝福されたり。
男子は誠を笑いながらイジメていた。
一応祝福していたのかな?
それでも誠は照れたり恥ずかしそうにしたり、一日中笑っていた。
取り敢えずみんなの様子から、誠の気持ちはクラス中が知っていたようだった。
叶チャンの耳にも、いつか入るよね……。
その前に、自分の口から言った方がイイ。
でも叶チャンにはどーでもイイ事かもしれないし……。
そうじゃなくても、何と無く言えない。
言いたくないってのが本音だけど。
こんなの、卑怯だよね。
嫌な女だよね。
でも、でも……。
「のん、どーした?」
「えッ!?いや、何でもないッ」
誠の声ではッと気付く。