Distance‐マイナス5cm‐
「俺、ここで見せ付けてんの。のんは俺のだって。ダセーけど、唯一の俺の強がり」
そう言っていつもみたいににっこり笑った。
でもその笑顔も、何だか寂しそうに見えた。
叶チャンちの隣の、あたしんち。
そこでこうやって抱き合う事が、少しでも誠の自信に繋がるなら……。
あたしは背伸びをして、誠にキスした。
「あたしの……気持ち。誠を好きな気持ちは嘘じゃないから」
あたし、絶対顔真っ赤だ。
恥ずかしさから目が潤む。
その恥ずかしさに耐えながら、誠の目をじっと見る。
「…………だよ」
「え?」
「ホント、何でそんなに可愛いんだよ」
そして、誠からのキス。
息が、できない……。
心臓、うるさい……。
頭が真っ白になる……。
もう息が続かない。
そう思った時。
「へぇー、良かったじゃん」
その声に、閉じていた目を開く。
この声は、紛れも無くあの人。