Distance‐マイナス5cm‐
「で、何作ってくれんの?」
学校を出て、近くのスーパーでそのままお買い物。
制服姿でカートを押す叶チャンに、それを引っ張るあたし。
周りから見たら、紛れも無く恋人同士に見えるよね♪
もしかしてそれ以上に見られちゃったりぃ〜!?
にやけた顔をなるべく引き締めて、食材探しでキョロキョロしていた目を叶チャンに向ける。
「何がイイ〜?」
あぁー、とワザとちょっと悩んだフリをする叶チャン。
そんな事しなくても、もう決めてる事知ってるよ。
「やっぱアレかな、」
「「ハンバーグ」」
二人の声が重なり、叶チャンは照れ隠しなのか
コホンッ
と咳ばらいをした。
ほらねッ♪
にひひっとあたしが笑ってみせると、叶チャンは顔を赤くしながら、手元にあった合いびき肉をカゴに放り込んだ。
叶チャンは昔から、あたしの作るハンバーグが大好物らしい。