Distance‐マイナス5cm‐
そーいえば、誠の話をこんなにするのって久しぶりだ。
と言うより、誠と付き合いだしてから、結夢と二人で語り合う事自体があまり無かった。
放課後、結夢と帰る事があっても、必ず誠も一緒だったし。
「女同士もイイよね♪」
結夢はコーヒーを飲みながら微笑んだ。
あたしもそれにならい、微笑む。
「のんと誠が上手くいってくれて良かった」
「えー、何いきなり」
「誠は、ホントにのんの事が好きなんだよ。それ以上に、のんを大切にしたいと思ってる」
「うん、それは分かる」
自惚れみたいに聞こえるかもしれないけど、誠があたしを大切だと思ってくれていて、そして大切にしてくれている事は痛い程感じてる。
あたしの言葉に満足したように、結夢は微笑んだ。
「のん、最近ずっと悩んでるみたいだけど、どんな事でも、誠ならきっと受け止めてくれる気がする」
そしてコーヒーに目を落としながら、呟くように言った。
「……うん」
あたしもオレンジジュースをカラカラさせながら、小さく頷いた。