Distance‐マイナス5cm‐
「慎重派の結夢がすぐ付き合うとかも意外だったしぃ」
「弱みを握られてね……」
「弱みってねぇ」
どこまでプライドが高いのか。
今度はあたしが溜め息をつきながら、やれやれと首を横に振った。
結夢は中学の頃から美人だったけど、入学したばかりの頃は少し人見知りだった。
でも、話し掛けた時に見せてくれる笑顔が凄く可愛くて。
美人な上に勉強も運動も完璧で、責任感も強くて、それはそれはモテていた。
すぐに男子の憧れの的になって、結夢と誰が最初に付き合えるかで、男子は競い合った。
一気に何人もに告られ、結夢は困ったようにしていたけど、そのうちの一人と付き合いを始めた。
それから一週間経って、結夢達はもう別れていた。
別れた原因は分からなかったけど、結夢の彼氏だった男は、
「思ってたのと違った」
ってみんなに言っていた。
それでも結夢は何人にも告られて、また違う人と付き合った。
だけどその人とも、一週間も続かなかった。
その時に付き合っていた彼氏も、
「思っていたのと違った」
と、同じ事を言っていた。